2024 04,30 03:15 |
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2009 10,03 09:13 |
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「ココ アヴァン シャネル」 2009年フランス映画
あまりにも有名な女性─シャネルの創設者 マドモアゼル・ココの少女時代から成功を収めるまでの、人生の前半を描いた伝記映画です。 ココに惚れました。又、ココを心底敬愛する作り手による映画として感動しました。おそらくココが生涯大切にした美意識に忠実に、あの時代のフランスを映像として切り取ったと感じます。そう、とてもシンプル。台詞も場面展開も、装飾を削り取っているからこそ、リアリティがありました。 愛人として、与えられた価値観や、男に依存しなければならなかった時代のココ。ぎくしゃくとした動き。男に「君は不幸か?」と言わせてしまうたたずまい。その後、帽子のデザイナーとして店をもち、自分の力で人生を創り上げてからの、燃えるような美しさ!主役のマドモアゼル・ココを演じたオドレイ・トトゥは、ココと同じ地域の出身とのことですが、いやはや、まるで本人が乗り移ったかのような姿。オドレイの代表作「アメリ」は興味が無かったのですが、今度観てみよう! 大好きなシーンは沢山あるのですが…ココが、愛する男のプライドを傷つけないために、自分が嘘をつき悪役となる場面がぐっときます。男女問わず、相手のために、あえて悪役をひきうけられる人間は、憧れます。滅多にないことなんですけれどもね。 知らなかったことに、現代女性のファッションの元をつくってくれたのは、ココのおかげなんですね。パジャマ、ボーダー、ジャージ素材、ズボン、黒いドレス…これらは皆男性のためあるいは禁忌の素材だったのに、ココが自ら纏うことで、女性の服として確立していったもの。映画の中の、ココのファッションも本当に素敵。誰よりも、自分がどうしたら引き立つかわかっていたココ。 「強くなりたい」「仕事したい」 映画を通して思いました。ココの生き方にひかれる自分は、たぶん女として少数派。そういえば、学生時代、自分も父の着なくなったメンズスーツをアレンジして着ることが好きでした。シンプルなファッションは、自分の素の輝きがなければ、到底着こなせない。そして、偽り無く人前に出られる自信がなければ無理。 おまけで、好きな女優 エマニュエル・デボスが演じた女優も上手なキャスティング。女の浅はかさとか演じさせたら、はまりますね、この人。ココの恋人カペルを演じたアレッサンドロ・ニポラもクラクラきました。本物のカペルも魅力的だったのでしょうね。見た目ではなく、生き方がエレガント。いや、本質がもう外見にも表れるのでしょう。 「50歳の顔は自分の責任」というココの言葉通り。 PR |
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2008 07,06 22:29 |
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龍村仁監督のドキュメンタリー映画、「地球交響曲」第6番を観てきました。
「全ての存在は響き合っている」という言葉通り、今回は音楽がテーマとなっています。インドのシタール奏者、アメリカのピアニスト、クジラの歌を研究している海洋生物学者が登場しています。会場では、映画に登場する笛奏者の方の生演奏もあり、なんか、久しぶりに魂をあの世に引っ張られるような体験をさせていただきました。 一番印象的だったのは、ピアニストの女性の言葉。「(自分は)音楽の通り道でありたい。なるべく自分を消し去ることが、その音楽(曲を演奏すること)に対する誠実さであると考える。」とおっしゃっていました。 自分を無にすること。最近他の場所でも耳にしました。なんか、そんな風に仕事をしたいと考えています。自分のできることを、ただ目の前の人に差し出したい。 ところで、仕事プラス秋には資格試験も受験することになり、頭も体もフル稼働でショート寸前の毎日。「交響曲」という文字もキーボードをたたけなくて、10回は変換ミスしてます。あーあーあー。 |
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2007 11,20 18:37 |
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「題名のない子守唄」 ジュゼッペ・トルナトーレ監督
「母性を宿したすべての女性に贈る衝撃の感動作」というキャッチコピーと、大好きな「ニューシネマパラダイス」の監督の作品ということで、産後初めて映画館へ足を運んできました。 映画の冒頭に、「結末を他人にしゃべらないでください」という監督のコメントが出た通り、実に謎に満ちた物語です。内容は詳しくは述べられませんが、あまりに衝撃の強い映画でした。感動よりも、痛みのほうが強いかもしれません。 イタリアの町に一人の移民女性がやってきます。彼女が何者かも、目的も語られることなく、瞬間瞬間恐ろしいエピソードが挿入されていきます。いったい彼女は誰なのか、物語がどこへ向かおうとしているのか、息をつかせる間さえないほど引き込まれます。オープニングからラストまで、目が離せないよう緻密な計算で作り上げられた作品です。 でも、正直、直視できない場面が多かったです。同じ女性として、あまりにむごい現実に…。物語はオリジナルとしても、土台にある事件は現実のものでしょう。 今の自分だから直視できなかった部分と、今の自分だからこそ、全ての意味をわかることができた部分がありました。実際にこの映画を消化できるには、かなり成熟された人でないと難しそうです。母性が一つのテーマとなっているとおり、子どもを産んだ人でないとピンとこない視覚効果もありました。 最初の一秒から、苦しく痛い時間が流れました。最後の最後まで、恐怖と絶望を引き連れた物語…だからこそ、ラストシーンは涙がこぼれ落ちました。 帰り道、すぐにわが子を抱きしめたい!と足を早めるお母さんが、きっときっと他にもいたことでしょう。家族が共に暮らせるなら、わが子の笑顔が見れるなら何も望まない─。そう、激しい痛みの代わりに、今の幸せをまた教えてもらったのでした。 |
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2007 09,14 14:34 |
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秋の夜長。DVDで映画を二本観ました。
「陽気なギャングが地球を回す」 (2006年 監督 前田哲) 伊坂幸太郎原作の小説の映画化。主演の松田翔太さん目当てで観ましたが、ジャズのリズムにのって、最後までテンポよく楽しめました。他主演の大沢たかお、佐藤浩市、鈴木京香の軽妙な芝居、脇を固める個性派俳優陣…交わされる会話が実にユーモアとスピード感があり、小道具・ファッションも含め、大人が楽しめる映画となっています。たまにはこういう軽いノリでスイングするのも悪くないです。 「銀河鉄道の夜」 (1985年 監督 杉井ギサブロー) 宮沢賢治原作の有名な小説を、猫のキャラクターで映像化したアニメ。久しぶりに観ましたが、まさしく、時がたつほど輝きを増す作品です。高度な技術を駆使し、観客を圧倒させる最近の映画とは違い、セリフも、映像も、説明不足なぐらい控えめで、観る者に考えさせる間がたくさんあります。暗い画面、セリフは少なく、静かで、限りない寂しさと残酷さに満ちている夜の世界。一枚一枚の絵と音楽の完成度の高さ。原作と同じく、謎めいた香りに満ち、忘れさせつつも、眠らせない記憶が残ります。うつくしいです。 |
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2007 05,17 06:49 |
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「黒蜥蜴」 監督:深作欣二 原作戯曲:三島由紀夫 (1968年松竹)
美輪明宏さんが黒蜥蜴を演じる幻の映画を観てきました! 「ビデオは絶版、DVDも未発売…」この作品は映画館でしか観られないと聞き、臨月のお腹を抱えてレイトショーへ行ってきました。 江戸川乱歩の原作を、三島由紀夫が美輪さんのために戯曲化した舞台の映画化。三島由紀夫自身も出演しています。 社交界に美しく君臨する緑川夫人。その裏の顔は、狙いを定めた獲物はどんな手段を使っても手に入れる女賊、黒蜥蜴。大阪の宝石商の美しい娘とダイヤの宝物を手に入れるため、探偵明智小五郎と対決するも、明智に恋する気持ちを抑えられなくなっていく─。 ビアズリーの「サロメ」を彷彿とさせる秘密クラブの冒頭シーンから、その退廃美、肉体の生々しさを捉えた映像にクラクラ。そして、唄いながら登場する黒蜥蜴…ただひたすら美輪さんの美しさのために作られた映画ではないかとため息が出るようなシーンの連続。黒蜥蜴と明智が交わす会話は機知に富み、言葉を宝石に変える三島の才能が堪能できます。先日の舞台「双頭の鷲」でもそうでしたが、視線で、声で、言葉で、全身の立ち振る舞いで、魅惑し駆け引きを楽しむ高貴な女性…美輪さんの存在感と演技、その美には圧倒されます。 この濃厚な美の世界は、もう現代では作れないでしょう。小道具から脚本、役者の持つ色気、美意識が、あまりに違いすぎるでしょうから。 脇を固める道化師やらせむしの下僕やら、こういうキャラクターも大好き。演出も徹底した悪趣味でよかったです。 昨晩はずっと黒蜥蜴の夢を見続けました。しばらくはこの恍惚とした余韻から抜けられそうもないです。 |
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