館長の部屋
月光図書館館長の雑記です。読んだ本のこと、日々のことなどを綴っています。
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2007
08,29
23:48
月と太郎と神様
CATEGORY[芸術]
昨晩28日は満月、そして皆既月食が見られました。月食は太陽、地球、月が一直線に並び、地球によって太陽の光を遮られた月が、一時的に消えて見える現象です。光を失い、ぼんやりと赤い姿の月。暗やみより小さな光が広がって満月へと戻っていく様は、想像よりはるかに神秘的で、心が高鳴る景色でした。月を眺めていたら、夜空を横切る大きな流れ星も。ちなみに、流れ星って、宇宙の塵なんかが地球の大気圏に突入して燃える現象なんだとか。てっきり星が流れているものだと思い込んでいたので、この事実はショック。
昼間は、地元のギャラリーで開催されている「岡本太郎写真展Ⅰ─沖縄・石垣島・宮古島─」を見に行きました。
写真集で岡本太郎が撮った写真を見る機会はありましたが、生の写真を見るのは初めて。写真に添えられた文章も豊富で、岡本太郎が魅せられたという沖縄の風土をじっくりと味わえました。主に島の聖域や伝統的なお祭り、女性を写した作品が並んでおり、もう現代では見られない濃密な世界─見てはならないタブーの場所、空間、姿がそこには感じられます。「島は不潔である。純潔ゆえに不潔である」と岡本氏が賞賛したとおり、清潔で何もかも整った現代では決して出会えないだろう眼差しと風景。唯一残る風葬の場所に積み上げられた人骨。捧げられた動物。神となった女性たち…。久しぶりにぞっとする時間を持てました。美しいとか、癒されるとか、そんな言葉は一切浮かぶことなく、もっと腹の底から人をぞっとさせられる岡本氏の芸術。出会う度に、新しい。やはり、天才。
以前旅をした奄美大島の老婆が、まるで怪物を見るように、怨念をこめて自分を射抜いた眼差し。フィリピンの先住民族の、飢えたこどもが向けた眼差し。自分は他者であり、侵入者であり、どうしようもない敵とも受け止められる存在なんだと教えてくれた数々の力強い「目」を思い出しました。違うということで、やっと客観視できる部分があります。知れば知るほど、もっと謙虚に生きなければという戒めとなります。
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