2024 05,16 23:04 |
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2007 07,26 20:18 |
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久しぶりに漫画で泣きました。
「夕凪の街 桜の国」 こうの史代作 双葉社 最もか弱き者たちにとって、 戦争とは何だったのか 原爆とは何だったのか 原爆が落とされてから10年後の広島を舞台とした「夕凪の街」。現代の東京を舞台とした「桜の国」。どちらも短い物語です。被爆した家族と、その歴史を知らず育った孫の世代の、ごくごく普通の日常が描かれます。普通の日常だからこそ、黙された被爆の傷の凄まじさを読者に問いかけます。戦争を生き抜いた人は、生涯、終わらない戦争を抱えて生きねばならない。それは、ひと時も攻撃の手を休めない過酷な体験ではないかと、こうした作品群が教えてくれます。 漫画はゆるやかな絵柄に沿うように、ゆったりとやさしい時間が流れています。説明されなくとも、登場する一家の明暗が、じっくりと心に湧き上がってきます。 生まれる前 そうあの時 わたしは ふたりを見ていた そして確かに このふたりを選んで 生まれてこようと 決めたのだ 出産を終えて育児に突入したばかりの今、作中の母と娘のエピソードには引き込まれるものがありました。自らの母を思い、また、目の前の娘の未来を思い、涙は止まることがなかったのです。 PR |
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2007 06,03 07:51 |
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「海街diary1 蝉時雨のやむ頃」 吉田秋生作 小学館
ホームページの本館でも取り上げている漫画家吉田秋生さんの最新作。 連続した短編3話が収録されています。とても良いという評判をききまして、早速読んでみました。 一言。のめりこむように一気に読みました。素晴らしい作品です。 舞台は鎌倉。子どもの頃、父親の借金と女性関係で両親が離婚。まずは父が家を出て、その2年後には母も再婚のため家を出ます。残された3姉妹は、祖母の家で育てられ、やがて成人─祖母亡き後も鎌倉の古い家でそのまま共に暮らしています。ある日、離婚以来一度も会ったことのない父親が、山形の地で亡くなったと知らせが入り、戸惑いながらも姉妹はお葬式に出席することとなり…。 未知の土地でのお葬式。父親の現在の暮らしと、自分の記憶とのギャップ。父の新しい配偶者の未熟な姿、遺産をめぐる駆け引き。こういうのあるある、というエピソードが連なります。何よりも、腹違いの妹との交流、クライマックスの蝉時雨のシーンの感動!表題作「蝉時雨のやむ頃」以外の他の2編も、丁寧に物語が進行し、じんわりきます。(過去の作品「ラヴァーズ・キス」の朋章くんが出てくる箇所もあります。かっこい~い!そして、朋章くんのエピソードを知っていると、語られない秘密に、あらためて思いをはせてしまいます。) 3姉妹の会話の掛け合いも現実的であるし、共に暮らすさりげない日常が非常に上手く描かれており、日々の暮らしの幸福感を巧みに表現しています。どの登場人物もいいのですが、とりわけ感情移入したのは、長女でしっかり者のサチ。親を許すということ、看護婦として常に厳しい環境の生と向き合っていること、凛としたたたずまい…共感し、かつ憧れるような女性です。そしてまた、哀しみを感じるキャラクターでもあります。 物語も本当にしっかりと作られており、紹介したいセリフもたくさんありますが、あんまりネタばれになってもつまらないので控えます。(でもこのブログのタイトルの意味をかみしめる内容です)いろんな経験をした大人が読むからこそ、つぼに入る箇所があります。おすすめです。 何度も足を運んだ土地ですが、また鎌倉へ行きたくなりました。 明後日が予定日。初乳が出て、おしるしがあり、子宮口も開いている状況ですが、なかなか規則的な陣痛が来ません…。今日もまた、お散歩を頑張らないと~。まだまだ本が読めるかな? |
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2007 05,15 09:52 |
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最近読んでいる漫画本の紹介です。頭をフル回転させますが、面白いですよー。
「LIAR GAME」 甲斐谷忍作 集英社 週間ヤングジャンプ不定期連載中 現在テレビドラマ化されています。(主役の秋山役の松田翔太君がかっこいいです♪)馬鹿正直がとりえの女子大生ナオが、ある日突然、謎の組織が主催する「ライアーゲーム」という現金の奪い合いのゲームの招待状を受け取ります。参加するはめになってしまったナオは、ある天才詐欺師秋山深一に助けを求めるが…。 ライアー、つまり真の嘘つき王を決めるという設定どおり、ゲームを制覇するのはとにかく相手をいかに欺いて、自分の有利な展開にもっていくかという話です。トーナメントを勝ち抜くほどに、ますます複雑な心理戦、かけひきが必要となり、正直第2回戦ぐらいからは、そのだましあいの理論が難しくてついていけないこともしばしば。それでもそのだましあう過程が見事で、現実世界のマネーゲームもこうして成り立っているのだというリアルさが、怖くなるぐらい面白いです。個人的にはクールで頭のいい(でも本当は情の深い)秋山君がつぼにはまってしまっています。 「Q.E.D」 加藤元浩作 講談社 月刊少年マガジン増刊マガジンGREAT連載中 Q. E. D. はラテン語Quod Erat Demonstrandum(訳:かく示された)の略。証明終わりの意として数学、哲学などで証明の末尾を示す。 ノーベル賞受賞者を多数輩出し、世界トップの研究機関のひとつであるアメリカの超エリート校、マサチューセッツ工科大学を15歳で卒業した天才児、燈馬想(とうま そう)。日本の高校へ再入学した燈馬のクラスメート、水原可奈。この二人が日常遭遇するさまざまな事件を、燈馬が解き明かすというミステリー漫画。 「ミステリーコミックの最高峰」とも称されることがあるぐらい、その内容は高度です。絵柄は可愛い感じですが、主人公が天才数学者でもあるとおり、大学研究レベルの数学理論が頻繁に出てきますし、あらゆるジャンルの知識が盛り込まれ、かつ、主人公が解いていく過程も卓越した論理法を駆使しており、毎回「うーん」とうなされます。内容は複雑な殺人事件から、日常の学園生活のほのぼのとしたいたずらの解決まで、重い話も軽い話も同じように楽しめます。主人公二人の掛け合いも漫才のよう。 「C.M.B」 加藤元浩作 講談社 月刊少年マガジン連載中 上記「Q.E.D」の姉妹版。主人公は燈馬のいとこにあたる榊森羅(さかきしんら)と、同じく高校のクラスメート七瀬立樹(ななせたつき)。 燈馬が理系の天才なら、森羅は年齢不詳の少年ながら博物館の館長を務めているぐらい、歴史、地学、生物等が世界トップレベルの天才児。同じくさまざま事件に遭遇するなかで、考古学や生物学、歴史等の知識を駆使しながら解決に導いていきます。主人公森羅が、燈馬よりさらに輪をかけて一般常識にかけているところもほほえましい。ローマでの宗教戦争がらみの事件など、「マスターキートン」浦沢直樹、勝鹿北星著を思い起こさせるような面白さ。 作者加藤元浩さんは、原案も作画も一人でこなしているのか…とにかくその博識ぶりに驚嘆します。きっちり笑いをとるところもニクイです。 数学の理論は大の苦手ですが、なんというか、あの途方もない別世界の魅力は堪能できます。 読むと絶対ハマリます。 |
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