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2007 03,31 21:11 |
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「食べる女」 筒井ともみ著
脚本家としても活躍する著者の短編集。初めのページにこんな言葉が。 スローフード・スローセックス宣言 この宣言に共感する身としては、興味を持って手にとりました。 題名の通り、東京を中心に、さまざまな年代の男女が織り成す物語のキーワードが「食べること(何を、どのように、誰と、いつ)」に絞られています。 一つ一つの物語もあっさりとまとめてあり、読みやすいです。 個人的には、登場する男も女も中性的すぎて、色気を描写している箇所も リアリティが感じられなかったのですが、これは本能的な好みの問題でしょうね。 この短編集を読んで思い出した本があります。 もう10年ぐらい前になります。 「核家族から単家族へ」 匠雅音著 丸善ライブラリーから出ている新書です。 家族が社会的存在ならば、産業の推移によって家族の形態もまた変化していくことは当然である。 情報化社会の到来により、労働に体力・腕力の差は無くなることで女性の労働力も男性と並び、男性が生産して女性が家事をするという核家族における男女の性差労働はなくなり、家族は個人の単位に解体されていくと推測した本です。 農耕社会の大家族→工業社会の核家族→情報社会の単家族という説明は大変説得力があり、工業化により家事労働も昔ほど必要性がなくなった主婦は、唯一機械化できない子育てに労力を注ぐ、生産力(経済格差)でつながる必要がなくなった家族(結婚)は、精神面での共有を重視した個と個のつながりとなっていく等、今の状況を的確に表現しています。 「食べる女」の登場人物は、基本的に「個」の単位を感じさせます。 たまに家族の物語が出てきますが、そこに昔のような連帯感はなく、 家事能力のない人物が、家事能力のある誰かを必要としている現実だけが形をとっているだけで、精神面ではさほど他者を必要としていない空気が漂います。 特に働いている女性の物語は、個として完全に機能しているため、家族・恋愛相手も欲していない。 欲望として食とセックスはあるけれど、そこから恋愛だの結婚だのに結びつかないという感覚。 そんな女たちが評価を与えるのは、心地よい食とセックスを提供してくれるけど、それ以上はふみこまないでくれる男たち。結婚していても、自分の個の確立とずれてしまっていたら、あっさりと離婚を決意する姿。 食と性の嗜好は人それぞれなので、自分の好みとはずれてしまっているけれども、この短篇集におさめられている感覚も今の社会の一面。 ちなみに最近「続・食べる女」も出ているようなので、そのうち手にとってみたいです。 PR |
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