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2008 04,27 17:41 |
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「月の小屋」 三砂ちづる作 毎日新聞社
「オニババ化する女たち」の著者による短篇集。作者は疫学の研究者であり、小説としてはそんなに期待せず読みましたが、予想を裏切る面白さ。装丁も非常に美しいです。 6つの物語は、そのまま6人の女性の人生が語られています。フィクションでありながら、どの人生にも、これまでの体験や見聞が重なり合い、妙に納得しながら読みました。国際開発の仕事に携わるということ。残酷で狡猾なダメ男と尽くしてしまう女。家族間の嫉妬と攻撃、依存。妊娠・出産の悲喜。女の一人暮らしと摂食障害。そうじ・片付けの極意。夫婦の営み。結婚する娘の体の準備等々…。 中でもそうじの達人の話は圧巻でした。どこにも書かれていないそうじの極意と、その裏にある人生の物語。それを知っても、出来る人は出来るし、出来ない人は出来ないという理にもため息。ささやかなエピソード一つ一つも、綿々と受け継がれてきた知恵であり、意外とどこにも書かれてこなかったことが、ぽん、と差し出されています。 「私たちはたくさんのことを忘れてしまったな、と思う。」 民俗学の名著、「忘れられた日本人」宮本常一氏の眼差しを思い出させる物語たち。閉鎖された農村社会で、束縛も強かったでしょうが、それを生き抜く人々のネットワークと、性に対するおおらかさ。女性から女性へと伝えられる知恵。世界が広がり、情報も選択も格段に多くなった分、確かに現代の女性は孤独かもしれません。体のことも、夫婦生活のことも、何も知らされることなく、教えてくれる人もなく、自分だけで決めていく人生だから。 最後の世話焼きばあさんの話も、いいですよ~。月の小屋という名前の意味も素敵です。読むと明るい気持ちとなります。宮本氏の言葉を借りるなら、女たちのエロばなしの明るい世界は女たちが幸福である事を意味している、のです。 女性は家のことをするだけで、悟りの境地へ近づくと聞いたことがあります。家族をみるということは、それだけのエネルギーと気づきを生み出す行為。家は、非常に高度なコミュニケーション能力を鍛えられる場。取捨選択の中で、悩んで悩んで家事育児介護仕事を引き受けている女性たち。答えは無くとも、日常は続いていく。生活は、こんなに体と密着している。この本を読んだ誰かと、語り合いたい気分です。 PR |
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コメント |
興味がわいてこの本をアマゾンで検索しましたが、まだユーズドは出回っていないようなので
、『オニババ・・・』のほうを注文しました。 そろそろとどくかなぁ。 私は『積読』専門なので図書館族にはなれないのです。 しかも図書館の休館日=わたしの定休日だったりします。上手くできたものです。 ただ、美術館なども私と一緒にお休みなのは悲しいです。 【2008/05/0109:12】||COCO#8d22cfefbc[ 編集する? ]
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まだこの本は出版されたばかりなので、ユーズドは難しいかもしれませんね。私もたまたま図書館で借りられて、ラッキィ♪と思っていました。「オニババ」も新書ですが、読みやすいですよ。賛否両論の激しい本ですが、私は同じ女性として、アリの本だと思っています。なんかこうやって本のお話ができるのが嬉しいです。いつもありがとうございます。
私も独身時代は仕事が忙しく、気に入った本はどんどん購入して読んでいましたが…現在は本の置き場所の問題とお金を費やせなくなったので、もっぱら図書館族へ戻りました…。(それでも旦那さんにはいつも本が多い~と言われています。) 【2008/05/0300:09】||コナ#5759108d53[ 編集する? ]
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