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2007 04,30 09:54 |
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新版 「空海の夢」 松岡正剛著 春秋社
文字は追えるけど、文の内容は読解できないという、相変わらず難解な松岡氏の著作。1年がかりでちびりちびりと読み終わりました。 「弘法大師」の名でも知られる日本真言宗の開祖・空海の一生や著作、思想等を松岡氏が読み解いていく一冊と言えば簡単ですが、その情報量は半端ではありません。 宇宙のエネルギー論、地球の生命の進化と生命倫理、あらゆる宗教の歴史、西洋の哲学史、東洋の思想史、仏教の歴史と経典、芸術、日本の民俗学・文化論・歴史、医学その他…括りきれないあらゆる学問の内容、学者の言葉が次から次へと引用され、恐ろしいほど広大な空海の世界を表現していきます。 本からイメージしたことは、「空海は一つの宇宙である」ということ。 宗教家としての側面が有名でしょうが、彼が体現したものは、宇宙の姿そのものぐらい大きなものではないかと恐れるぐらいです。哲学者として、言語学者として、芸術家として、プロデューサーとして、自身が一つのエネルギーの塊として、なんだかものすごい宇宙を展開させた人なのだ、と。だからこそ、松岡氏も、この世界のあらゆるベクトルを総動員させて空海と向き合っていると。 珠玉のような言葉がたくさん出現しますが、一番衝撃的だったのは第20章「六塵はよく溺るる海」より、空海の言葉。 三界の狂人は狂せることを知らず 四生の盲者は盲なることを識らず 生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く 死に死に死に死んで死の終わりに冥(くら)し この章にて松岡氏は、宇宙の熱学上の概念や地球上の生命の誕生史をひもときながら、地球の生命誕生の際に最大の「矛盾」があったことを論じています。科学の視点からも、人間の意識のレベル(宗教史、倫理、芸術)においても生命は矛盾の連鎖であるという点で重なり合っていきます。現代の高度な科学技術による発見や、西洋の思想史を知らなくとも、空海は生命の本質が抱える矛盾、生と死の真理を捉えていたのだと驚きます。何より上記の空海の言葉の凄みに圧倒されました。 何故他の命を奪って生きるのか。何故死ぬのか。 答えの無い問答。この章を読むと、生きることが矛盾から成り立ち、迷い悩んで生きていく人の宿命のようなものを示されて、逆にすっきりとした気分となりました。 「空海の夢」というタイトル。空海がみたであろう夢を、読者も共有できるようにという著者の願いが込められているとおり、単に過去の宗教者を紹介して終わり、という内容ではありません。多様なベクトルを示すことで、常に現代を生きる我々にとってどうなのかを問う姿勢が貫かれています。 松岡氏の著作の読後感。毎度のことながら、とりあえず、世の中には「知らない」ことが膨大にある、ということを知ったわけですが、裏を返せば、「知りたい!」と思うことがさらに増えたということです。 次に読むであろう哲学者の本を示し、また生涯に出会うだろう数多くの本の存在を照らし、空海が放つ光の矢が宇宙を満たしてくれています。 出産に向けてのリラクゼーショントレーニングも変化しました。瞑想の内容がより具体的になったようです。 読書後は不思議な夢を見ることも。空海エネルギー、あなどれません。折を見て、この本でつながったことなども書いていきたいです。 PR |
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