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2007 04,23 09:14 |
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「双頭の鷲」 作 ジャン・コクトー 演出・修辞 美輪明宏
念願の美輪さんの舞台を観てきました。 物語の舞台は、19世紀ヨーロッパの王家。10年前結婚式の日に夫である皇帝を暗殺で亡くし、政治の表舞台から身を引いて旅から旅の暮らしを続ける奔放な王妃と、その王妃の失脚暗殺を企む皇太后一派の陰謀が軸となっています。王妃暗殺で放たれた詩人の青年が、亡き皇帝に瓜二つという皮肉、孤独に生きてきた王妃の願いと詩人の押し込めてきた感情がぶつかりあったとき、激しい恋と悲劇の幕が上がります。 オーストリア最後の王妃、美貌とその波乱に満ちた生涯により圧倒的な人気を誇るエリザベートの生涯をモデルにした戯曲。皇太后との確執の深さ、王妃が宮廷を離れて旅から旅の暮らしを続けること、乗馬や射的が得意で、人前ではベールや扇で顔を隠す理由等、エリザベートの実話を知っていると、美輪さん演じる王妃の姿がよりぐぐっと迫ってきます。勿論、知らなくてもお芝居ですから、会話や美輪さんの演技から伝わるものはあります。それでも、孤独の深さや身のこなし、プライド、美しい横顔と忍び寄る影…王妃が発する非言語のメッセージが豊かに湧き上がり、いかに美輪さんが孤高の王妃を全身で表現しているか、その完璧さがわかります。 舞台の道具も本物しか使わないという美輪さんの言葉どおり、宝石、ドレス、調度品の一つ一つも繊細で豪華。声の抑揚、ドレスの衣擦れ一つとっても、常に最高の見せ方を計算つくしていました。 以前コンサートでも3時間歌いっ放しの体力を見せてくれた美輪さんですが、今回も3時間の舞台を完璧に演じきっていました。なんという身のしなやかさと強さでしょう。本当にプロはすごい! 同じ舞台に立つ他の役者さんも尊敬です。あの美輪さんと一緒に舞台を作り上げるってどんな感じなのでしょう?相手役の木村さんは若い男性ですが、どこか昭和の男優を思い起こすような優美さがありました。 奮発して、かなり前のいい席で観たのですが、お隣に座っていたおばさんグループがまた典型的な人たちで、観察していて笑えました。なぜか芝居途中に大きな咳、次から次へと荷物をがさごそする、最後には紙を取り出して「ビリビリビリ」とちぎり始める。(←意味不明?)で、前の席に座っていたお客さんたちみんなが振り返って注意をして、なんとか最後はおとなしくなりました。この迷惑おばさん、途中途中の芝居の感想も「何いってるかわからないわ」「眠いわ」と不満ばかり言っていましたが、最後のカーテンコールでは立ち上がって「ブラボ~」「素晴らしいわ~」と高らかに叫んでいました。やれやれ。自分にとってわかりやすい表現でなければ、退屈なものという図式が成り立っていて、自分から「知ろう」という姿勢はないです。こういう姿の人のほうが多いのかもしれないですね。勿体ないとは思いますが。 詩人・コクトーの戯曲。格調高い言葉使いと会話の美しさ。現代の、簡単なわかりやすいコミュニケーションしか興味のない人には、伝わりにくい世界かもしれません。世の流れとして、文学的な作品がますます減っていくのかもしれない、と、寂しい気持ちになりました。 ちなみに9ヶ月目のお腹を抱えての舞台鑑賞。移動がとにかく大変で、劇場が大きく感じました。スリルはありましたけど、見終わったとき、舞台の感動と無事に見終わった達成感で、涙が止まりませんでしたよ。お腹の赤ちゃんに感謝。送り迎えと夕食作りもしてくれた旦那さまにも感謝。 PR |
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