館長の部屋
月光図書館館長の雑記です。読んだ本のこと、日々のことなどを綴っています。
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どんなジャンルも読みますが、外国人作家、児童文学作品をよく読みます。漫画も好きです。
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2007
04,06
10:34
戦争の世紀 子どもへ遺すもの
CATEGORY[児童文学]
「暁の円卓」 ラルフ・イーザウ著 全9巻
途中、何度か中断しましたが、ようやく全9巻を読み終わりました。
1900年1月1日、主人公デービットが誕生。「世紀の子」として特殊な能力と100年の命を授かった彼と、「暁の円卓」という世界滅亡を企む謎の秘密結社との100年にわたる闘いを描いたファンタジーです。
イーザウはドイツの作家。最終巻のあとがきによれば、この物語の構想は日本で起きたある事件がきっかけとのこと。地球を股にかけた長編において、随所随所で日本が舞台となり、キーワードとなっている意味がわかりました。外国人作家から見た20世紀の日本の風俗、特に天皇制を中心に据えた数々のエピソード。よく調べており、物語に活かされています。さすがに1900年から70年代までは自分にとっても歴史の分野にあたり、ファンタジーとして読めますが、最後の1990年代近くの出来事は、記憶に残る事件が登場しますので、不思議な感覚です。
物語の根幹を成す秘密結社との闘いは、著者の代表作「ネシャン・サーガ」とも同じ、キリスト教的な倫理観を感じさせる絶対悪対絶対善という構造が貫かれており、少し乗り切れない部分がありました。そのため、作中のインド編、ガンディーが主人公と対話するシーンで、唯一ガンディーが善と悪を単純に判断しない言葉を述べているところが非常に印象的でした。
それでも、地球規模でこの100年を描いた大作は読み応えがあります。登場する国の数も膨大ですが、各巻に年代表と世界地図がのせてありますので、頭の整理もできます。
「戦争の世紀」と呼ばれた20世紀。第1巻での第一次世界大戦から最終巻のテロにいたるまで、各戦争の現場が詳しく描かれることが多いです。その現実につらくなりながらも、やはり「知る」べき歴史だと思い直して読み進めました。特にヒトラーが登場する第二次世界大戦までのドイツ編、南北で戦う朝鮮戦争編等は、強いインパクトがありました。また冷戦後の世界で、戦争という形以外で地球に打撃を与える出来事、環境問題や宗教対立、倫理観の変化等さまざまな視点で破滅へ至る道を示唆しており、見えざる敵の存在に恐ろしくなります。
当初は船で国を渡っていた主人公も、最後は超音速旅客機コンコルドに搭乗するまでに発展します。テレビやパソコンといった道具の登場がいかに生活を変えたか─。大きな戦争だけでなく、日々の人間の暮らしが変わることで、世界全体までどう変化しているのか真摯に捉えようとしています。歴史を知り、現在と未来を考える。完読するのは大変ですが、是非多くの人に手にとってもらいたい作品です。最終巻の副題「希望の歳月」の意味を、良くも悪くも21世紀に生きる一人ひとりの心に余韻を残します。
イーザウはコンピュータープログラミングの仕事の経歴もあり、理系の知識も物語に正確に取り入れられる作家です。本作品もアインシュタインの相対性理論がキーワードとなっていますが、科学技術や物理、数学といった知識の面白さが堪能できます。どうやら新作「見えざるピラミッド」は、もっと理系の知識を駆使したファンタジーとの噂。こちらも気になります。
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